読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

永遠の卵

少女革命ウテナのはなしがしたい。

DUEL:19「今は亡き王国の歌」

第2部・黑薔薇編

 

おかえり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:19「今は亡き王国の歌」

放送日:1997年8月6日

脚本・絵コンテ:風山十五
演出:高橋亨 作画監督相澤昌弘

 

 若葉前後編の前編。今は亡き王国・たまねぎ王国のお姫さまのお話。どんなに幸せでロマンチックで少女漫画ちっくでも、今はもう亡き王国。

 

たまねぎ王子とお姫さま×4

本エピソードでは、若葉は強がってるけどほんとは達也が好き。達也も実は若葉を...っていう王道少女漫画的ノリをこれでもかと繰り返し、観客を騙しにかかります。さすがにこのアニメを19話まで見たわたしたちですから、本当にこのふたりがラブラブくっついて終わるだなんて思ったりしないでしょうし、ウテナと若葉の百合エピソードだ!なんて期待したりもしないでしょう。*1

生徒会

思い続ける人というのを簡単に変えることができたら、君たちももっと楽になれるのにね。

私もか。

樹璃せんぱい、いい感じにミスリードしてくれますが、これはこれで本質を示しているような気もします。若葉がヘテロセクシャルなら、ぜったいに彼を愛するより、達也を"王子さま"とした方がいいのですから。ぜったいにそっちの方が"楽"ですよ。

プラネタリウム(理事長室)

人が心の中に持っている王子さまというのは、きっと他の人にはわからないものですよ。

樹璃せんぱいがせっかくいい感じの発言してくれたのに、完全にネタバレするこの男。でもウテナはちょっとポワワワ〜ンだからあんまり理解してなかったみたいです。よかったあ。

濁すお茶

お茶を濁すウテナが楽しいお茶シーン。

暁生の言ってることをそのまんま繰り返したり、「告白する価値はあると思うけど?」なんて"アドバイス"してみたり、今回のウテナは主人公にあるまじき滑稽さ。わたしはウテナのこういうところは好きなのですけどね。若葉のためにっていう99パーセントの善意と、暁生に対する1パーセント(今後はもっとぶくぶく膨れ上がりますが)の憧れ。

 

号外!

こんなすべてがあべこべな会話ははじめてみた。

  • タイヤを大安売りするタイ屋さん。
  • 魚屋さんは魚を売る(骨)。
  • パーン(拳銃)屋さんは、パン(食べ物)を売る。
  • タイヤは食べられる(衝撃の事実)
  • タイヤは食べられない(衝撃の事実)

なにか意味があるのでは、と誤解させる思わせぶりな会話。でも実は中身なんてなんにもなく、受け取ったものは自分の予想したそれとはまったく違うもの。そう、タイヤは食べられないんですよ。どんなに高いお金を出して買ってもね。*2

 

ウテナの意地悪!!

 

⇨⇨⇨⇨⇨面会室(風見達也)

君は本当にいい人だね。
だから、君の進むべき道はここにはない。
帰りたまえ。ここは君のような人間の来るところではない。

達也がこの場で話すことは、たぶん本当の恋愛の話。彼は若葉が好きで、でも若葉は彼を好きじゃない。なんの屈折も、悪意も憎しみもない。そういう一時のセンチメンタルな"恋バナ"では、薔薇を黒く染めることはできません。彼が若葉の胸の剣を抜き取ることもできません。達也は食べられるタイヤを欲しがりましたが、そんなものはこの世にはありません。*3

 

わたしの王子さま

さて、西園寺は食べられるタイヤなのでしょうか。まあ、彼が骨だけの魚だなんてことは、きっと若葉自身気づいていることなのかもしれませんが。ただ、西園寺は知らないかも。パンだと思った拳銃の悲劇について。です。

 

LA BANDE

わからないなあ。わからないなあ。わからないことがいっぱいだ。

でもこれだけはわかってる。

若葉は僕の大事な友達なんだ。

 

*1:...

*2:これも意味ありげで、なんにも意味のない文章です。気づいてた?

*3:いや、あるかもしんないけど...

DUEL:18「みつるもどかしさ」

第2部・黑薔薇編

やだ!ほんとに?
で、どうだった?やっぱり、痛い?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:18「みつるもどかしさ」

放送日:1997年7月30日

脚本:比賀昇 絵コンテ:西村聡
演出:岡崎幸男 作画監督林明美

石蕗七実エピソード。テーマは「子供から大人へ」。そしてそれは「梅雨から夏へ」という季節、「雨から晴れへ」というお天気の移り変わりによってあらわされます。石蕗の「大人になりたい」という気持ちを利用して、薔薇の花嫁暗殺を試みる黒薔薇会のふたり。

薔薇は季節の移り変わりに敏感ですから。

 

嫉妬深い女王さまとその家来

今回のデュエリストは、「嫉妬深い女王」(=七実)と「その家来」(=石蕗)です。

子供じゃない。

と馬宮はいうのですが、この作戦会議の中での"子供"って七実と石蕗、どちらのことなのでしょうかね。まあ、どちらもなのでしょうね。

昨日までの固い蕾でも、きっかけさえあれば、簡単に綻ぶものさ。

"大人になること"への興味でいっぱいの七実と、そもそも"大人"がどんなものかなんて知りもしない石蕗。七実は彼の幼馴染・茉莉に嫉妬しますが、石蕗のジレンマっていうのには、たぶん七実は関係ない。とわたしは思う。

プラネタリウム(理事長室)

暁生のいうことって、DUEL:15でも言ったようにすごく重要なことなんです。でも、影絵少女の劇と同じで、それは必ずしも真理であるとは限りません。

星は年をとると輝きを失う。人間もまた然り。

DUEL:15でも今回もそうですが、彼の悲劇の英雄気取りや、こういった諦念のようなものって、これからの物語に必要不可欠な鍵になってきますね。

⇨⇨⇨⇨⇨面会室(石蕗美蔓)

通じないふたり

石蕗と茉莉との関係に嫉妬して彼の部屋を七実が訪ねてくる場面。絶対にふたりは同じカットにおさまらないっていう演出は好きです。

石蕗美蔓の闇

大人になりたい!
大人になって、世界をめちゃくちゃにしてやりたい!

七実と一緒にいられるだけで幸せだった子供の石蕗。それだけじゃあ物足りない過渡期の石蕗。彼も、梢も、枝織も、結局は相手を支配してやりたい、世界をめちゃくちゃにしてやりたいっていう"子供"らしい願望を持つ人間たちなのかもしれません。しかし暁生はそれこそが"輝き"だという。それとも過渡期のこの願望こそ、失う"輝き"の前触れなんでしょうか。

 

号外!

雨って、あたしが傘持ってきてると止むのよね。

ほんとにね。

あたしね、今日ね、今日ね、初めてだったの!

献血って、大人の証ですか?

 

地下の教室(決闘広場)

円錐形絶対卵アルシブラ」。この歌、だいすき。

経験を積んだ大人を倒してこそ、子供は大人になる!

やっぱりこういうことになってしまう。これじゃあ世界を革命できません。暁生のいうとおり、"年を重ねると輝きを失ってしまう"という世界のルールに則って大人になってしまうのなら、ウテナに勝てるはずがありません。

今回机の上にあるのはハニワとチョコレート。かわいいのは、ハニワが割れるとその中にまた小さなハニワが入ってるってとこ。どんなに大人ぶってても、結局ひとは心の内側に救いようのない"子供"を持っているのかも。暁生もまた然り。

夏のはじまり

今回はBGMが控えめで雨の中というくら〜い演出になってるのですが、ラストはうってかわって爽やかな音楽と日常、初夏の輝き。

あつくなるわね...

 

 

 

LA BANDE

雨降ってるのに傘さしてまでそこで会議しなきゃならないのかよ。

新参者はぎゅうぎゅう締め上げてやればいいのよ。

ぎゅう、ぎゅう...。 うし、うし...。

そしてついに、ついに、次回からは若葉前後編。このブログを始めようと思ったきっかけの回です。

ところで、

たまねぎふたつで今夜も美味しいカレーができますね。

ふたりはDUEL:08以降もたびたび入れ替わっているのかも...。

 

 

DUEL:17「死の棘」

ねえ、あんたがいつもやってるこれ、どういう意味?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:17「死の棘」

放送日:1997年7月23日

脚本:月村了衛 絵コンテ:松本淳
演出:桜美かつし 作画監督香川久

第17話の脚本は初の月村了衛さん。この方の書く脚本はすきでもあり、きらいでもある。タイトルがかっこいい。

樹璃回です。DUEL:7で彼女が片思いをしていたお相手・枝織が学園に戻ってくるところから。

 

水槽に咲く橙の薔薇、毒と鳥。

今回のお話では、黒薔薇会のふたりは樹璃の想い人・高槻枝織をターゲットとします。枝織はある事情により学園を離れていましたが、この回から出戻ってきました。

馬宮の水槽の薔薇は、樹璃の髪の毛の色と同じ橙色で、はじめは黒薔薇ではありません。この橙の薔薇(=樹璃)の棘(=樹璃の心の剣)が馬宮たちには必要でした。しかしその棘こそが邪魔をして、彼らは薔薇を摘み取ることができません。この橙の薔薇を黒薔薇にしウテナを倒すため、橙薔薇の天敵・虫の毒(=枝織)を利用しようという企みです。

この薔薇やその棘、天敵の虫の毒という比喩はわかりやすすぎず、でもわかりづらすぎず、ちょうどよいです。なんかかっこいいしね。しかしこんな暗喩だらけの作戦会議、伝わる方がすごいや。

そして、メタファーといえばもうひとつ。鳥です。転入してきた枝織はなんとか樹璃との友情を取り戻そうとするのですが、当の樹璃はそんな彼女に素っ気ない態度で応えます。その時に窓ガラスにぶつかってきた鳥。この鳥は、決闘広場の机の上にもいるので要注意。これはたぶん、枝織の心だとは思うのですが、よくわからない描写です。鳥=枝織だとすると、樹璃につれなくされれば、彼女もそれなりのショックは受けるということみたいです。皮肉っぽい言い方ですが、わたし自身は枝織に対してそこまで悪感情はありません。けっこうわかりやすい単純な子じゃないですか、梢とかとちがって。言い難いですが(嫌われキャラなので)けっこう共感できちゃう。まあ彼女の闇とかについては後々。

 

生徒会(事情聴取)

今回の生徒会は、七実による幹への審問です。生徒会とウテナ以外にデュエリストがいる、しかも幹(と梢)も関わっているとなると、生徒会的にはちょっとまずいということなのでしょう。

やっぱり痛いの?

心の剣が抜かれるということは、いったい何を意味するのでしょうか。察しましょう。

 

プラネタリウム(理事長室)

だがその無邪気さが人を傷つける。気を付けないとね。

ほんとにね。ちょっとは気をつけてくれたまえよ。

そして枝織やウテナの無邪気な残酷さに傷つけられた樹璃の気高き薔薇は、黒く染まってゆきます。

 

⇨⇨⇨⇨⇨面会室(高槻枝織)

枝。

 

高槻枝織の闇

枝織の闇っていうのは、樹璃のことを「心から信頼できる人」などと言っておきながらその実「子供の頃から樹璃さんが憎かった」。でもこれはまだ蝶。目立たず、地味な存在だった枝織は、なんでもできちゃう樹璃に嫉妬をしていました。わからないけど、ここまでならたぶん樹璃は受け入れてくれるんじゃないだろうか。これだけならたぶん、彼女は枝織の"王子さま"でいられた。

深く、もっと深く。

蛹。でもこのふたりの利害はほんとうに一致しない。樹璃が枝織の"王子さま"であろうとすればするほど、枝織は惨めになります。樹璃の"大切なもの"を奪ったって、その気持ちは変わりません。なぜなら樹璃はそんなことくらいじゃ本当に動揺はしないからです。彼女の"大切なもの"は、もっと他にある。

高槻枝織の毒

芋虫。気高き王子さまの秘密を知ってしまった虫の毒。枝織の心はこれまで樹璃への妬みと憧れでいっぱいだった。そして"いっぱい"だという事実がまた、彼女には耐えられませんでした。だからいつまでも惨めなのです。しかし形成大逆転。ほんとうに"いっぱい"だったのは樹璃のほうでした。嬉しくて嬉しくてたまらない虫。でもそこには喜びだけでなく、戸惑いと拒絶も同居しているのです。それこそが彼女の毒。事実を知られることそのものと、その事実への反応に傷つくことは別です。喜びを示すも、拒絶するも、すべては枝織の自由。樹璃にはどうすることもできません。その自由は、樹璃にとっては毒に他ならないでしょう。その毒を以ってすれば、彼女の棘を抜くことなど容易いことです。

 

号外!

脱げば?

毛糸のパンツ3枚もはいてスカートもっこりしちゃわないですか?

 

地下の教室(決闘広場)

地球は人物陳列室」。

ペンダントの中身

ペンダントの中身は、樹璃の心の中身。中身を知ってしまった枝織は、彼女の心を支配したも同然です。

私は奇跡を信じない

樹璃は断言します。そうであるなら、彼女がウテナに勝てるはずもありませんし、枝織もまたそうです。鳥は飛び立つしかありません。

 

彼女の本質

あの人は変わってませんよ。全然。

枝織との初対面のあと、彼女の部屋を意味深に見上げていたアンシーの言葉です。アンシーはどんな"仕掛け"をしたのかな。

それはいいとして、枝織の本質です。樹璃を支配したい、樹璃より高い位置に立っていたい。「心から信頼できるのは樹璃さんだけ」。「いつも私を守ってくれた」。「でも樹璃さんが憎い」し、「大切なものを奪いたい」。たぶんこれらの言葉に嘘はなく、今回の話の中で枝織のこの気持ちはいっさい変わっていないのだとおもいます。彼女にはおそらく、闇も光も、地下も地上もありません。

でも、本当にそうでしょうか。樹璃の心と、その心を支配する自由を手にいれた枝織には、なんの変化もなかったのでしょうか。"毒"はまだなお健在で、それは気高い薔薇にもまだ回り続けていますが、虫もまた自らのそれに毒されているのではないでしょうか。

 

なぜ私は強くなれないんだろう。

そして樹璃の本質。求めるものはただひとつ。否定したいのもただひとつ。そこにはいつも諦めが彷徨っていて、その諦めを池に捨てることが"強さ"なのだとしたら、それが彼女の本当に欲しいもので、そして本当にそれが自分の欲しいものだと思っているのなら、たぶんそれは見当違い。

樹璃が強くなれば、というか強くなろうとすればするほど、枝織は惨めになるし、苛立ちを感じることでしょう。枝織が樹璃に求めるものって、たぶんそういうものじゃないはず。そのペンダントを捨てることに、たぶんなんの意味もない。最初から。

樹璃は奇跡を信じることができない。それが彼女の弱さだとは思えないし、言いたくもないのだけど。でもなぜ枝織が樹璃の薔薇をまっ黒くするほど彼女に固執しているのか、なぜそんな毒を持ち合わせていたのかを考えてみれば、それは。*1

 

 

LA BANDE

審問は、もう終わりなのかい? 

樹璃と枝織は、樹と枝なのですよね。樹と枝の関係性って...なんだ。

 

*1:それはわたし好みの百合になる

DUEL:16「幸せのカウベル」

さあ、七実。朝ごはんだよ。いいから、たんとお食べ。これが最後の食事なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:16「幸せのカウベル

放送日:1997年7月16日

脚本:比賀昇 絵コンテ:錦織博
演出:腰繁男 作画監督:津幡佳明

 

七実さまが牛になってしまう回です。本当にこの文章のまま、七実さまが牛になってしまう回です。

 

王子さまブランド

この話での教訓、いわゆるメッセージみたいなものって(あるのかどうかわからないけど)、ラストでブランドものをじゃらじゃら身につけた樹璃の、

哀れなものだな。
ブランド品に魅入られた者の末路は。

という言葉のまま受け取ってもいいとおもうし、まあその通りだともおもうんですよね。なぜなら七実は、目立ちたい、ちやほやされたい、という欲望に取り憑かれたがために、本来、人間の身につけるべきものでないカウベルを首にぶら下げています。セバスチャン・ディオール(ほんとはコウシチャン・ディオールだけど)という名前さえあればなんでもいいのかい、物事の本質を見ましょうねっていうわかりやすい教訓がこの物語からは読み取れます。あとはまあ、カウベルなんかつけてると牛になってしまうよ、っていう。

そしてこの後者はウテナさまにもいえることなのですよね。七実と、物語の受け手だけではなく。

ウテナっていわば"男"や"王子さま"というブランドに取り憑かれたような人間じゃないですか。ウテナは王子さまになりたいがために王子さまの格好をして、どんどん"男なるもの"になっていってしまう。カウベルをつけた七実が牛になってしまうのと同じように。それがいいことなのか悪いことなのかはさておきますけど。

君はカウベルの何たるかも知らずにそのバカでかい鈴を首につけて得意になっていたわけさ。

ウテナさまボロクソ言ってますけど、ブーメラン突き刺さりまくり。君は王子さまの何たるかも知らずにそのダサい学ランを着て得意になっていたわけさ。というのも言い過ぎですけど。さてその王子さまの何たるかっていうのが、今後のテーマになってくるところだとおもいます。

あととっても面白いのは、このアニメってすごくメタ・フィクション的ですよね。キャラクターたちは、鳳学園にいる人間たち、というより、この『少女革命ウテナ』という舞台においてそれぞれある役割を演じている、というようなところがある。"物事の本質を見ましょう"みたいな教訓って、その役割を壊す、つまり世界を革命するってことなので、物語全編に通じるメッセージになってます。作り手の意図は知らんけど。

 

号外!

この嘘の情報を流したネズ太郎は猫に食べられちゃうので、

自業自得ですよね。

ともおもうのですが、 騙されて今夜ぐっすり眠っているネズミたちの危険性を考えると安心できない...ねこ、つよい...という話でした。

こうやって嘘の情報を吹き込む"ネズ太郎"って何者なのでしょうか。それは世界っていう大きなものでもあり、身内っていうごく近しいものでもあるわけだ。

 

LA BANDE

いただきます。

 ウテナさまは、ほんとに無邪気なんですね。次は樹璃回です。

 

DUEL:15「その梢が指す風景」

第2部・黑薔薇編

チューチュー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:15「その梢が指す風景」

放送日:1997年7月9日

脚本:榎戸洋司 演出・絵コンテ:星川孝文
作画監督:たけうちのぶゆき

幹・梢回。ふたりの関係性が「光さす庭」前後編より更に深く描かれます。今回より生徒会も形は変わりつつも復活(ダボハゼは引きこもってますが)です。

 

強き心の結晶

どうでもよいですが黒薔薇編、なにを書こうとしてもすぐに厨二的になってしまう。

前回、暁生のフィアンセ・香苗に狙いをさだめデュエリストにしたはいいけれど、アンシー殺害計画はあえなく失敗。どうにかして永遠を手にいれたい彼らは、生徒会メンバーの"心の剣"に着目します。生徒会メンバーは常人より強い心を持っているので、その心から結晶する剣はより強いものになるだろう、という理屈のようです。しかし、その"心の剣"とウテナとを闘わせるには、それを引き出す"手"が必要とのこと。

この御影の台詞から、プールの水を掴み取る梢という演出、お気に入りです。

 

梢と幹

そんな甘いもの、あたしが飲むわけないじゃん。

梢と幹の"心"をあらわすミルクセーキのカップ。幼いころはふたつとも空っぽでしたが、今は梢のカップだけが"いっぱい"の状態です。梢は幹の心を自分でいっぱいにしたいのに、当の幹は、アンシーのことで心がいっぱい。

幹の心を"梢でいっぱい"にしたいがために、今日も彼女はダボハゼと関係を結ぶ。

幹を汚すやつは許さない

という歪んだ情熱のもと、梢は幹のピアノの先生を階段から突き落としてしまいます。そして次に彼女の憎悪が向かう先は。

 

生徒会(風車)

卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく
自由の部屋と自由の籠
空の広さを教えずに、彼らは雛を可愛がる
世界の籠を破壊せよ
世界を革命するために

七実さま、冬芽の代理として生徒会に君臨。空の広さを教えずに、冬芽は七実を可愛がる。世界の籠を破壊せよ。

ということで、七実と扇風機のシンクロに注目。

このところ、世界の果てから手紙が来ないな

夏休みじゃないですか?

 

プラネタリウム(理事長室)

黒薔薇編における理事長の言葉は、生徒会編の影絵少女並みに意義深いものです。それに加えて号外少女もあるんだから、黒薔薇編が他の3つよりも少しわかりやすく、ゆえに人気が高いっていうのも頷けますね。

ということで、今回の暁生さんからの有難いお言葉。

普段は気にもしないし役にも立たない。
でも、時々見上げたりして心安らかになったりする。

妹にとって兄とはどういう存在か?というウテナの問いに、暁生はそれをお月様に喩えて答えます。よく考えると、暁生は兄の立場なのに、どうして妹の立場からものを言ってやがるんだろう?

 

⇨⇨⇨⇨⇨面会室(薫梢)

彼女の心の闇は、幹への歪んだ愛情表現。愛情という点においては歪みもへったくれもありませんが、彼女が表現するそれはちょっと危険。幹を傷つけることで、彼の心を自分で満たそうとする。梢は、決して掴めないプールの水を、必死で掴もうとするのです。でもそれって、ただそこに存在するからなのではありません?

 

号外!

車内販売。

僕は何も飲みたくない!
何も食べたくないんだ!

...すいません、コーヒーとサンドイッチ。

何も飲みたくない、食べたくないはずなのに、求めてしまうその心とは。

 

地下の教室(決闘広場)

架空過去型《禁厭》まじない」。

みんな、消えてなくなれ!
あたしと幹以外は、すべて醜いんだから!

机の上にはミルクセーキでいっぱいのカップ。それ、飲んでいいの?

 

あたしと幹は似てないわ

結局のところ、梢の幹に対する思いというのは、いかなるものなのでしょう。

カップは、空のままの方がたぶん健全。でもミルクセーキを作るのは、いつも幹。梢の極端に排他的な思考とか、兄への愛情表現の歪みから見るに、梢っていわゆるヤンデレツンデレ、すべて愛ゆえの行動なの、ってやつかと思っていたのですが。

なんとなく、幹への愛情以上に、憎しみとはまではいきませんが、たぶん劣等感のようなものをきっと梢は持っているように感じます。何でもできる兄と、そうではない自分。見た目はそっくりでも、中身は違う。カップは同じ、中身は非対称。"美しさ"や"永遠"をふたりの間だけに封じ込めておきたいっていう強い願いは、暁生のいう"お月さま"の話とはぜんぜん違う。プールの水を掴めてしまったら、もしお月さまがいつも隣にいたら、それは、買いたくないのに買ってしまう車内販売と同じくらい、鬱陶しいものなんだろうか。触れられないものは、触れられないのでちょうどいい。そしたらきっと心安らかでいられるのかもしれません。

 

LA BANDE

今夜も、心安らかにしておけよ。

本当に本当にどうでもいいことなのですが、フィアンセって言おうとすると絶対にフィナンシェになっちゃいませんか?

次は牛回です。

 

DUEL:14「黒薔薇の少年たち」

第2部・黑薔薇編

 

おっきいなあ。これが君のお兄さん?

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:14「黒薔薇の少年たち」

放送日:1997年7月2日

脚本:榎戸洋司 絵コンテ:橋本カツヨ
演出:岡崎幸男 作画監督林明美

 

第二部・黒薔薇編のはじまりです。タイトルはそのまんま「黒薔薇の少年たち」ということで、今回から鳳学園内にある建物、根室記念館を舞台に暗躍する少年たちが登場します。

 

黒薔薇会

⇨御影草時

草。

これまでウテナは冬芽率いる生徒会メンバーを相手取ってきましたが、生徒会長・冬芽の没落によって新たな敵と闘うこととなります。それがこの御影草時が主宰する御影ゼミ(通称:黒薔薇会)というわけ。御影は超秀才な高等部3年生。薄いピンクの髪の毛をしているのですが、これがまたなんともウテナを思わせるというか、深読みできてしまいそうでとってもテンションあがりますね。

 

⇨千唾馬宮

ディ...?ではなくって、御影のパートナーだそうです。御影は彼を"薔薇の花嫁"にしようと画策し、アンシーの命を狙います。彼らの存在は、"世界の果て"も認識しているようです。年齢はわかりませんが、御影を「先輩」と呼んでるので彼よりは年下なのでしょう。

 

⇨闇と地下と黒薔薇

僕の黒薔薇は闇を吸い込んでいるから。

これは馬宮の言葉ですが、第二部・黒薔薇編を見ていく上で非常に重要な台詞です。馬宮は基本的に根室記念館の地下におり、黒薔薇を育ててい(るんですか?これは)ます。

闇を吸い込み花をつける黒薔薇。この"闇"とはつまり人の心の闇の部分のこと。黑薔薇会は、普段は隠れているデュエリストたちの闇を発露させることで黒薔薇を育て、彼らとウテナを決闘させます。これが、第二部の基本的な決闘の流れ。*1

 

プラネタリウム(理事長室)

鳳暁生

今回から明らかになることですが、アンシーには鳳暁生というお兄さんがいました。アンシーは、土曜日に彼に会いに行っていることが多いのだとか。

鳳という苗字からもわかる通り、彼はこの鳳学園の理事長代理です。婚約者がいまして、彼女が高等部を卒業したらすぐに結婚する予定。マジかよ。星が大好き。

 

エレベーターの音

第二部ではエレベーターの音がずっと鳴ってますね。わたしはこれが超すきなんです。根室記念館の地下に降りていく時と、理事長館の最上階へ昇っていく時の音。

 

100人の少年

根室記念館は、昔100人の少年が生き埋めになったという曰く付きの建物だそうです(薫幹談)。こわっ。

 

 

⇨⇨⇨⇨⇨面会室(鳳香苗)

この面会室も初登場。御影たちは、ここで悩める者たちのカウンセリングをするという形で心の闇を解放し、彼らに黒薔薇とその刻印を与えます。

この面会室、地下に下っていくエレベーターの構造になっています。カウンセリングを受ける生徒たちは、悩みを打ち明けていくうち、エレベーターと同時にぐんぐんと自らの心の地下(闇)に落ちていく。壁にかけられた額は、最初は蝶ですが、蛹→芋虫→葉っぱに変化していきます。そして落ちていった先が聖地。そこは昔生き埋めになった100人の生徒たちが眠る場所であり、"世界の果て"へと繋がる場所でもあります。黒薔薇の刻印というのは、そこで死んだ生徒がもともと持っていた指輪のことなのですね。薔薇の刻印は、持ち主が亡くなると黒くなってしまうんだそうです。御影が学籍番号を唱えるとピシャーって柩が飛び出てくるんですけど、わたし的にこれがこわい。ていうか黒薔薇編は全部通してわたしけっこうこわい。

鳳香苗の闇

苗。

アンシーの兄、暁生の婚約者である彼女の闇は、義理の妹(になる予定の)アンシーに対する憎悪でした。というか御影たちはアンシーの命を狙っているので、原則アンシーに恨み・憎悪を抱く者が黒薔薇のデュエリストとして選ばれます。

今回の香苗のお話は要するに、もうアンシーが不気味で仕方ないということでした(たぶん)。たしかにスカーフ借してメガネ拭きにされたら怒りってよりまず「なんだこいつ...??」ってなるかもしれません。未知への恐怖だよね。アンシーったら宇宙人〜。にしても、義理の妹にそこまでお姉さんって呼んでもらいたいもの?

 

あなたは世界を革命するしかないでしょう。
あなたの進む道は用意してあります。

 

号外!

少女Cも初登場!

ついに恐れていたものが来ちゃったのね!

今回からの影絵少女は、号外少女、もとい少女Cの一人芝居です。初潮を思わせといて実は親知らずが生えてきたっていうお話でした。

抜けば?

ってことで、ウテナは決闘へ。

 

地下の教室(決闘広場)

不人幻魂合体術

決闘広場もちょこっとリニューアル?で、机がたくさん。その上には花瓶がのっています。ウテナが決闘に勝つと机がガチャガチャくっつくのとか、赤い人型に倒れるのとか、柩が火葬されちゃうのとか、わたしはこわい。ちなみに黒薔薇のデュエリストたちはその闘いに敗れると記憶はなくなっちゃいます。もしも勝ったらどうなるのだろ。

 

プラネタリウム(夜)

おいで、アンシー。

アンシーが暁生に会いに行く時にはお留守番しているチュチュ、外される眼鏡。ソファの上のはだけ暁生。この回を皮切りに、『少女革命ウテナ』はどんどん"性"を匂わせてきますね。号外少女といい。"子ども"が"大人"へと変化する時のテーマのひとつでもあるのでしょうか。

 

LA BANDE

いえ。プラネタリウムの投影機です。

どうでもいいけどこれはわたしのウテナお気に入りギャグナンバーワン。こういう淡々とやられるやつに弱くて、何度みてもフフってなってしまう。

次回、梢ちゃん再び。

 

*1:まあこれは次回からちょっと変化するのですが...

DUEL:13「描かれる軌跡」

第1部・生徒会編

ただいま。

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:13「描かれる軌跡」

放送日:1997年6月25日

脚本:榎戸洋司 絵コンテ・演出:高橋亨
作画監督:阿保孝雄

 

1~12話の間に行われてきた決闘たちのおまとめ回になりますが、暁生が初登場するうえにベラベラ大事なことを喋りまくるので油断はできません。気を引き締めて見てゆきましょう。

 

影絵少女

今回は毎度おなじみだった影絵少女からスタートです。

勝てば官軍
負ければダボハゼ
歩く姿は百合の花

UFOに乗って去って行くA子とB子...なのですが、実はこのUFOって、釣竿で飛ばしてるんだよ〜という演出です。影絵少女っていうのは劇、つまりはフィクションであり、アニメーションである。そしてそのアニメーションは、『少女革命ウテナ』の世界を寓話的に表します。更に言ってしまえば『少女革命ウテナ』というアニメーションは、わたしたちの世界を寓話的に...というわけ。こういうのだいすき。

 

失意のダボハゼ 

さて、前回決闘に敗れたことにより王子さまからダボハゼへと降格してしまった哀れな冬芽さまは、なんと引きこもりに。ウケる。

冬芽って、自分が王子さまになれる、世界を革命する者になれる=自分は特別なんだという思いを実は強く持っていましたね。彼は彼で、またひとつの"世界の果て"だったんじゃないかと思います。生徒会編を牛耳る神さまの子供でした。けれど、実のところそうではなく、やはりそれは思い上がり。冬芽は結局ただ神さまに憧れる"子供"でしかなく、神さまのひとつの"駒"に過ぎませんでした。でも、神さまにとって彼はただの駒であっても、決してそうじゃないんだと言ってくれる人が、冬芽を神さまにしてくれる人が、彼のいちばん近くにいるのですよね。冬芽はいつそのことに気がつくのかな。

今回の演出でとても印象的なのは、やっぱりテープレコーダー。生徒会の口上は、このようにして流れていたんですね。そりゃあ毎回毎回言っていたら大変ですものね。これもまた、影絵少女と同じく"フィクション"という演出のひとつになっていて、楽しい。

 

7つの決闘

君はまだ目覚めないのか?
まだ、卵の殻を破れずにいるのか?

暁生がディオスに語りかけるところから、振り返りスタート。彼の言葉から察するに、つまりウテナは予め用意された試練をひとつひとつこなしていくという感じなのでしょうか。

傷つきながらも薔薇の花嫁を守る彼女の姿は、何か懐かしいものを思い出させたな。

これは、前回のアンシーの発言とも重なる部分があります。懐かしいもの、かつて見たことがあるもの、「あの時」と同じ。それはやはりディオスのことなのでしょうか。

 

1. 友情(amitié)

DUEL:01での西園寺との決闘。この"友情"は、若葉と、彼女のために闘ったウテナの友情のことを指すのでしょうが、後々西園寺にとってもアンシーにとっても、"友情"が非常に重要な鍵になってくることを考えると、少しおもしろいです。

 

2. 選択(choix)

DUEL:02にて、西園寺と2度目の決闘。わざと敗れるか、それとも勝利して王子さまの座に居座り続けるか。というとあまりにも意地悪すぎるかな。ウテナは、"アンシーのために"勝利という"選択"をしたのです。「たぶん」。

ちなみにこの時からディオスの力の封印は解けはじめたんだとか。

 

3. 理性(raison)

DUEL:05における幹との決闘。理性とは、

感情に動かされたりしないで、論理的に考えをまとめたり物事を判断したりする頭の働き。

なるほど。わたし的に幹は、十分理性的であったと思うのですよね。どちらかというと理性的であろうとしすぎたために敗れてしまった。ウテナさまはそこんとこなんにも考えずにパパっとやってのけちゃうからね。

 

4. 恋愛(amour)

DUEL:07、樹璃との闘い。

言っておくが、世界を革命する力が彼らを捕らえたんじゃない。
彼らの方が求めて、奇跡に囚われるんだ。*1

樹璃と枝織の恋と、ウテナと王子さまの恋。勝つのはどちらか。ウテナの恋はほんとの恋なのか、そしてウテナが恋をしたのは本当に王子さまか。 

 

5. 崇拝(adration)

DUEL:10、もうひとりのデュエリスト七実との決闘。

七実の冬芽への崇拝。ウテナの王子さまへの崇拝。彼女たちを勝利へと導く神さまは、ほんとに神さまなのでしょうか。それともただのダボハゼ

 

6. 信念(conviction)

DUEL:11、生徒会長冬芽とのボス戦。

連勝中だったウテナは、ここで初めて決闘に敗れることとなります。自らの信念"アンシーのために"は、もろくも崩れ去るという結果になったのです。叩き続けた扉は、開くことはなかったのでしょうか。ただの一度も?

 

7. 自分(soi)

DUEL:12、冬芽との再戦。

ウテナがぶつかった友情という壁。友情とは単なるエゴイズムのことなんだろうか。ニヒリズムに陥りそうになる"自分"との闘いです。結果、ウテナは扉を叩き続けることを選ぶのでした。

 

新しいステージのはじまり

これから先の決闘を、彼女はどう闘うんだろうな。

黒薔薇のショーケースと刻印。辿り着くUFO。そして100人の少年たち。です。

 

LA BANDE

第一部・生徒会編が終わりました〜。

自分で書いておいてなんですが、ここまで来れると思っていませんでした。次回からは第二部・黒薔薇編。少しは語りやすくなるといいな。新しいUFOも到着したことですし。ワクワク。

 

(おかえり。)

 

*1:「とらえる」の漢字はわたしの好みです。