DUEL:26「幹の巣箱(光さす庭・アレンジ)」<少女革命ウテナ>
- DUEL:26「幹の巣箱(光さす庭・アレンジ)」
- 金のガチョウ
- 親鳥と雛とその巣箱
- 思い出の庭
- ふたりのベッドルーム。
- 生徒会(椅子)
- 車とハイウェイ、世界の果て。
- 影絵少女
- 永遠を運ぶゴンドラ(決闘広場)
- LA BANDE
DUEL:26「幹の巣箱(光さす庭・アレンジ)」
放送日:1997年9月24日
脚本:榎戸洋司 絵コンテ:松本淳
演出:岡崎幸男 作画監督:林明美
幹と梢最後のエピソード。絵がきれい。
金のガチョウ
金のガチョウは金の卵をうむから価値があるんだ。
ウテナが産む卵はどんなに素晴らしくとも暁生の役には立ちませんので、価値はないということなのでしょうか。彼の求めるものとは、ウテナがディオスの剣とその力によって勝ち続けることなんですよね。それを自らの剣でやってしまったら意味がないと。それにしてもやっぱりウテナさまも卵をうんでる。。?ウテナさまったら宇宙人。。?
親鳥と雛とその巣箱
さて今回の本筋は幹と梢です。
親なんかいらないわ。
という割には、自分が危険な目に遭っても小鳥たちを助けようとした梢。このふたりは両親とは暮らしていないみたいですね。どうやらお母さんの方が先に家を出た感じなのかな?くわしくはわからないのですが。
思い出の庭
ウテナとアンシーの会話がおもしろいです。アンシーにとって"思い出"はいつか荒れてしまうもの。そして彼女はそれを知ってるのですよね。でも、ウテナにとっては思い出はたぶん美しいもので、守るべきもので、大切なもの。この時ウテナがなんと言ったのかはわからずじまいなのですが、ただわかるのは、今回のことで、幹と梢はもう昔のようには絶対ぜったい戻れないってこと。
ふたりのベッドルーム。
お兄さまは、そうですね。たしかに大人かもしれません。
わたしの親代わりですから。
そしてここにも戻れなくちゃった兄妹がふたり。 親が子供のことをいつも想っているのは、兄が妹の世話をし、妹が兄を慕うのは、ほんとうに遺伝子のせいなのでしょうか?そうだとしたら、この世の中にある友情ってものに説明がつきません。
生徒会(椅子)
君たちのためにとかいう大人は、たいてい信用できないもんです。
"世界の果て"が信用できない幹は、ストップウォッチをおろします。世界における"役割"を幹が果たさないということは、彼が世界を革命する、または"世界の果て"に近づいていることの前触れです。
ここでは、前回の西園寺と同様に、大人を信用しない"子供"、大人に反抗する"子供"がわかりやすく描かれます。 そして"世界の果て"を知ることで彼らは"大人"になる。っていうのがこの第3部のおおまかな流れです。そうすることで、"世界の果て"をまだ知らない、卵もうまないウテナをさっさとやっつけてしまおうという企みですね。
自分勝手な大人に利用されるくらいなら、僕はもう決闘はしない。
ところで七実さまのいう"あしながおじさん"っていうのはこれまたおもしろい表現だなっておもいます。ひとりの女の子に目をかけて"支援"するジョン・スミス。ほとんど会ったことのない彼だけを頼りに生きる(生かされる?)生徒会メンバーたち。果たしてはその正体は。。まあ『ウテナ』でいう"おじさん"は、手紙をもらう側ではなく、送る側ですけれどね。嫉妬してアンシーの行動を制限しようとするなど、"世界の果て"にはどことなく"あしながおじさん"に共通する部分がみうけられます。
車とハイウェイ、世界の果て。
薫幹の果て。
親鳥としての役割、生徒会メンバーとしての役割。王子さま、そして薔薇の花嫁としての役割。幹はその"役割"と、それを与える"世界の果て"に不信感を抱きます。そのことが、"役割"をまっとうするアンシーによって強調される。
行き詰まったか。
しかし役割を捨てたヒヨコはどうすればいいのか。いくら歩いてもその先にあるのは壁。役割以外に何も持たなかったその小さな体では、大きな壁はぶち壊せません。でもそれは"車"でだって同じこと。眩い車のライトと怪しげな音楽に踊らされて、酔わされているだけのことです。
薫梢の果て。
人と待ち合わせしてるの。
梢は幹より一足先に"あしながおじさん"の正体を知ってしまったようです。恵まれない子供を助けてくれる神さま、子供には知りえないことを教えてくれる大人、"世界の果て"に連れて行ってくれる男。ただのダボハゼなんですけどね。
周りが全部汚れてたら、自分も汚れるしかないじゃない。
自分も汚れて、欲しいものを手にいれるしかないのよ。
幹の欲しいものは、自分が運転する車の助手席に座るアンシー。ただのアンシーじゃなくてね。自分が支配できるもの。じゃあ梢が"世界の果て"を知ることで手に入れた"欲しいもの"っていったいなんだったのだろう。汚れることで手に入るものって?そんなの、ほんとはないんですよ。汚れることしかなくなったダボハゼの、精一杯の言い訳なんだよ。
戻ってくるかねえ、親鳥たち。
地雷を踏むウテナさま。
影絵少女
いいカモだよな。
欲望を嫌う子供。そそのかす大人。壁にぶちあたったヒヨコはいいカモなんです。
試しに一回だけってすすめたのはあんただろ。
誰を責めたってもう戻れない。お金は大切に。
永遠を運ぶゴンドラ(決闘広場)
「平俗宇宙に不滅の皇帝」。
いい?はじめるよ。
今回からは、決闘相手もひとりより、ふたりに。
だって、ミッキーはもっと、
"思い出"っていうのはもっと、。
もっと、...なんです?
切られてしまった木と、荒れ果てた庭。親鳥は戻らず、巣箱は空のまま。そこが何かで満たされることを願っていたのでは、幹だけではなかったはず。梢もウテナもアンシーも、そして"世界の果て"だって、それをいちばんに望んでいるのかもしれません。だって"思い出"なんてものはどんなに求めても、しょせん心の中でしか美しくあれないものだからです。
LA BANDE
いくじなし。
目玉焼き、だし巻き、温泉たまご。スクランブルエッグに、オムレツ。
卵の殻を破らねば、オムレツは作れない。
次回、伝説の初卵。