永遠の卵

少女革命ウテナのはなしがしたい。

DUEL:15「その梢が指す風景」<少女革命ウテナ>

 

チューチュー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:15「その梢が指す風景」

放送日:1997年7月9日

脚本:榎戸洋司 演出・絵コンテ:星川孝文
作画監督:たけうちのぶゆき

幹・梢回。ふたりの関係性が「光さす庭」前後編より更に深く描かれます。今回より生徒会も形は変わりつつも復活(ダボハゼは引きこもってますが)です。

 

強き心の結晶

どうでもよいですが黒薔薇編、なにを書こうとしてもすぐに厨二的になってしまう。

前回、暁生のフィアンセ・香苗に狙いをさだめデュエリストにしたはいいけれど、アンシー殺害計画はあえなく失敗。どうにかして永遠を手にいれたい彼らは、生徒会メンバーの"心の剣"に着目します。生徒会メンバーは常人より強い心を持っているので、その心から結晶する剣はより強いものになるだろう、という理屈のようです。しかし、その"心の剣"とウテナとを闘わせるには、それを引き出す"手"が必要とのこと。

この御影の台詞から、プールの水を掴み取る梢という演出、お気に入りです。

 

梢と幹

そんな甘いもの、あたしが飲むわけないじゃん。

梢と幹の"心"をあらわすミルクセーキのカップ。幼いころはふたつとも空っぽでしたが、今は梢のカップだけが"いっぱい"の状態です。梢は幹の心を自分でいっぱいにしたいのに、当の幹は、アンシーのことで心がいっぱい。

幹の心を"梢でいっぱい"にしたいがために、今日も彼女はダボハゼと関係を結ぶ。

幹を汚すやつは許さない

という歪んだ情熱のもと、梢は幹のピアノの先生を階段から突き落としてしまいます。そして次に彼女の憎悪が向かう先は。

 

生徒会(風車)

卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく
自由の部屋と自由の籠
空の広さを教えずに、彼らは雛を可愛がる
世界の籠を破壊せよ
世界を革命するために

七実さま、冬芽の代理として生徒会に君臨。空の広さを教えずに、冬芽は七実を可愛がる。世界の籠を破壊せよ。

ということで、七実と扇風機のシンクロに注目。

このところ、世界の果てから手紙が来ないな

夏休みじゃないですか?

 

プラネタリウム(理事長室)

黒薔薇編における理事長の言葉は、生徒会編の影絵少女並みに意義深いものです。それに加えて号外少女もあるんだから、黒薔薇編が他の3つよりも少しわかりやすく、ゆえに人気が高いっていうのも頷けますね。

ということで、今回の暁生さんからの有難いお言葉。

普段は気にもしないし役にも立たない。
でも、時々見上げたりして心安らかになったりする。

妹にとって兄とはどういう存在か?というウテナの問いに、暁生はそれをお月様に喩えて答えます。よく考えると、暁生は兄の立場なのに、どうして妹の立場からものを言ってやがるんだろう?

 

⇨⇨⇨⇨⇨面会室(薫梢)

彼女の心の闇は、幹への歪んだ愛情表現。愛情という点においては歪みもへったくれもありませんが、彼女が表現するそれはちょっと危険。幹を傷つけることで、彼の心を自分で満たそうとする。梢は、決して掴めないプールの水を、必死で掴もうとするのです。でもそれって、ただそこに存在するからなのではありません?

 

号外!

車内販売。

僕は何も飲みたくない!
何も食べたくないんだ!

...すいません、コーヒーとサンドイッチ。

何も飲みたくない、食べたくないはずなのに、求めてしまうその心とは。

 

地下の教室(決闘広場)

架空過去型《禁厭》まじない」。

みんな、消えてなくなれ!
あたしと幹以外は、すべて醜いんだから!

机の上にはミルクセーキでいっぱいのカップ。それ、飲んでいいの?

 

あたしと幹は似てないわ

結局のところ、梢の幹に対する思いというのは、いかなるものなのでしょう。

カップは、空のままの方がたぶん健全。でもミルクセーキを作るのは、いつも幹。梢の極端に排他的な思考とか、兄への愛情表現の歪みから見るに、梢っていわゆるヤンデレツンデレ、すべて愛ゆえの行動なの、ってやつかと思っていたのですが。

なんとなく、幹への愛情以上に、憎しみとはまではいきませんが、たぶん劣等感のようなものをきっと梢は持っているように感じます。何でもできる兄と、そうではない自分。見た目はそっくりでも、中身は違う。カップは同じ、中身は非対称。"美しさ"や"永遠"をふたりの間だけに封じ込めておきたいっていう強い願いは、暁生のいう"お月さま"の話とはぜんぜん違う。プールの水を掴めてしまったら、もしお月さまがいつも隣にいたら、それは、買いたくないのに買ってしまう車内販売と同じくらい、鬱陶しいものなんだろうか。触れられないものは、触れられないのでちょうどいい。そしたらきっと心安らかでいられるのかもしれません。

 

LA BANDE

今夜も、心安らかにしておけよ。

本当に本当にどうでもいいことなのですが、フィアンセって言おうとすると絶対にフィナンシェになっちゃいませんか?

次は牛回です。