永遠の卵

ウテナメモ

DUEL:28「闇に囁く」<少女革命ウテナ>

 

夜がいくら長いといっても、僕たちにはほんのつかの間でしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:28「闇に囁く」

放送日:1997年10月8日

脚本:月村了衛 絵コンテ・演出:高橋亨
作画監督:阿部邦博

 

ずっと言葉にできない想い。
でも、私の心はいつも、囁き続けている。

そして、あなたも。

 

樹璃ラスト前後編の前編。樹璃の恋愛のゆくえ。

 

生徒会(お食事)

土谷瑠果

果。今回のキーパーソンとして、土谷瑠果という人物が登場します。フェンシング部の(元)部長で、病で休学していましたが、今回から復学しました。彼も世界の果てから選ばれたデュエリストです。しかし、これまでのふたりと同様、瑠果もまた決闘はしないといいます。ただそれは大人への反抗心によるものではなさそう。彼の目論見は、この前後編最大の謎で、最大のセンチメンタル。

 

世界の果てがおかんむりだよ。

生徒会メンバーの誰もがウテナを倒せないので、世界の果てはおかんむり。これは、物語が第2部までのように、彼の思うがまま進んでいるわけではないということをあらわしています。ウテナを倒すため、瑠果は派遣されたのでしょうか。なにはともあれ、次回、"世界の果て"はもっとも姑息な方法によって樹璃をそこへ導きます。

 

 

ふたりのベッドルーム。

なんだか胸騒ぎがする。

ウテナの予感はいったい何を意味するのでしょうか。

彼は知っている。すべて、知っているんだ。

ということです。

 

 

車とハイウェイ、世界の果て。

高槻枝織の果て。

あなた、最低ですね。

樹璃への支配欲と劣等感で雁字搦めになっている枝織。気高き薔薇をむしりとって"愛すべきひと"に差し出す虫。そのほかのことはなにも見えない。 彼女は自分の苦しみも願いもなにひとつ自覚できずに、ただただ樹璃を傷つけるだけなのです。自分を見失い、他人に存在意義を求める。"いちばん嫌いなひと"なのにね。

 

影絵少女

タイヤ?

枝織にとって"食べられるタイヤ"は、樹璃だけ。でもそのことに彼女は気づかないし、気づこうともしません。だからダボハゼにひっかかるんです。

 

永遠を運ぶゴンドラ(決闘広場)

天使アンドロギュヌス」。

 

神さまのいうとおり。

君には未知数の力がある。
僕では勝てないかもしれない。

瑠果はこの決闘でウテナに勝てないことはわかっていたのかもしれません。それはおそらく"世界の果て"の思い通りで、枝織のみた"世界の果て"の果て。

君の演技、面白かったよ。
アドリブにしては、上出来だ。

瑠果が枝織に抱く憎しみは、いったいどこからやってくるものなのでしょうか。忘れてはならないのは、彼もまた"世界の果て"の住人であるということ。

 

虫の死。

樹璃を傷つけたところで、なにひとつ手に入らなかった。偶然手に入れた一瞬の優越によって残されたのは、より大きな劣等感と憎しみだけ。虫はみずからの毒によってその身をついに滅ぼしました。(参照:DUEL:17

元をたどれば誰も悪くはないでしょう。ただ虫はその毒をコントロールする術を持たねばなりませんでした。でも"世界の果て"はそんなこと教えてくれなかった。彼の見せる"大人"なんて、結局はそんなものなのです。

 

闇に囁く。

彼らが囁きつづける"闇"とはいったいなんなのか。なにも見えない場所。なにも響かず、なにも届かず、それなのになぜ彼らは囁きつづけるのか。そこに何があるのだろう。きっとたしかに何かがあって、彼らはそれを欲するのでしょうが、でもやっぱりそこは"闇"だから、彼ら自身にだって、何も見えない。

 

 

LA VANDE

好きってこと。それが何を意味するかは、人それぞれ違いますから。

 次回は有栖川樹璃の果て。憂鬱。