永遠の卵

少女革命ウテナのはなしがしたい。

DUEL:30「裸足の少女」<少女革命ウテナ>

 

ばっはは〜い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUEL:30「裸足の少女」

放送日:1997年10月22日

脚本:榎戸洋司 絵コンテ:風山十五
演出:桜美かつし 作画監督香川久

 

ウテナエピソード。蝋燭の火とともに揺れるウテナの心。消えゆく炎は何を意味するのでしょうか。徐々にですが、ウテナも"世界の果て"へと向かいはじめているということです。

 

靴を脱がない少女。

さて、タイトルにもなっている「裸足の少女」とはいったい誰のことで、なにを指すのか。本エピソードでは、"靴を脱がす"という描写が目立ちます。"脱ぐ"ではなく"脱がす"、または"脱がされる"。それは"神"によって。あるいは"王子さま"によって。このことは、女性が自らの靴を自分自身で選択することと、それをはいて自分の力で歩いてゆく力を奪われることを意味します。少女たちは靴をはき続けてはならない。王子さまはその靴を脱がさなければならない。誰がそんなことを決めたのか。それは神であり、"世界の果て"であり、目の前にいるその男です。ウテナは靴をはき続けようとする女の子でした。"世界の果て"が決めたルールに従わない彼女は、罰を受ける。永遠に踊り狂わらなければならないという罰。教会に赤い靴ははいてゆけない。そして今回、ウテナは選択を迫られるのです。"過去の王子さま"を忘れ、靴を脱ぐのか。それとも罰を受けるのか。それとも、世界を革命するのか。

 

消えゆく炎。

もうひとつ印象に残る演出といえば、やはりこの揺れて消える蝋燭の炎。冒頭では3本の蝋燭に火がついた状態ですが、ウテナが暁生に迫られるたび火は激しく揺れ、徐々にその本数を減らしてゆきます。そしてエピソード終了時には、最後の一本も消え......。この演出が意味するところは、やはり"ウテナの心"。心といってもいろいろな"心"があるわけで、ウテナのどんな心が揺れ、どんな心が消えるのか。まあ別に難解なお話というわけでもありません。ウテナの心は"過去の王子さま""美しい思い出"と、今目の前にいる生身の男、つまり暁生の間で揺れているわけです。炎は、"美しい思い出"そのものとも捉えられますし、それを忘れずに強く抱き続ける彼女の気高き心とも受け取れるでしょう。そしてそれが消えゆくということは。

ウテナは、"靴を脱がされる"ということを選択したのです。それは"世界の果て"への第一歩となります。でも、絶望するのはまだはやい。ウテナは、まだ足を切られたわけではないのだから。

 

蝋燭をもつ少女。

この蝋燭、はじめは真っ黒な背景の中でゆらゆら揺れているのですが、中盤でとあることが明かされます。それは、その蝋燭を持っているのが実はアンシーだったということ。

ばっはは〜い。

アンシーは、暁生にウテナの靴を脱がせるため、彼らをふたりきりにしようとします。それはなぜ?もしやすべてを操っているのは彼女なのでしょうか。ウテナの炎を吹き消すのは、もしかしてアンシーなの?アンシーはやっぱり"怖い女"なの?王子の悲劇も、姫の抑圧も、すべては魔女のせい?

 

影絵少女

と決めつけるのもまだはやい。

その靴を捨てなさい!
それをはいてると死ぬまで踊り続けなきゃなんないのよ!

アンシーはウテナに警告しているのです。さっさと靴を脱いでしまいなさいと促しているのだ。だってそうしなければ、ウテナは罰を受けることになる。死ぬまで踊り続けるくらいなら、どうせいつか足を切られてしまうのなら、靴なんて脱いでしまった方がまし。でもそれは、ウテナにアンシー自身と同じ道を歩ませることになります。そのことが彼女にはまだわかっていないのです。暁生がウテナにキスをした時、残された蝋燭はあと1本。一本の気高き炎はその警告に対し、こう答えます。

そういうあなただって手に持ってるじゃない。
あたしと同じ赤い靴。

そう。アンシーだって自分の靴を持っているのです。持っているだけよ。あたしははいたりしないわ。自ら望んで罰を受けにゆくほど愚かじゃない。

持っているのにはかない阿呆。
はかないのはあんたの人生。

靴を脱ぎ、王子さまに抱かれて歩く人生。それが彼女にとっての幸せであるなら、それがいちばんであることは確かです。自分で選んだことなら、誰かに否定される筋合いもないでしょう。靴をはかないのは、アンシーの人生。でも、その道を選んだ理由が、"罰を受けるから"だとしたら?彼女は永遠の苦痛を、永遠の幸福だと錯覚しているだけだ。アンシーがほんとうに幸福なら、靴なんて捨ててしまえばいい。ウテナに警告する必要もない。でも、彼女は持っているのです。ウテナとおんなじ赤い靴。

 

ふたりのベッドルーム。

わたしを忘れないで。

いますよ。わたしにも、王子さまが。

"美しい思い出"を忘れないでほしいし、"王子さま"の正体を、本当の姿を思い出して欲しい。あなたに靴を脱いでほしくないし、わたしも靴をはいてみたい。残ったひとつの炎はわたしだ。わたしを忘れないで。だからアンシーは、ウテナの心を握ってそこに立っているのです。*1

 

大人のベッドシーン。

君は見る目があるよ。
あれはいい女になる。

王子さまたちにとって、ウテナは自分の信念を揺るがす存在。靴を脱がしてほしがるお姫さまばかりを相手にしなければならない、どんな女性にとっても"王子さま"でなければならないことに疲れたダボハゼたちにとって、ウテナは新鮮に映ったことでしょう。でも、彼らにウテナの何がわかるというのでしょうか。"あたしの大事な赤い靴"と、"ガラスの靴"は根本的に違っている。そのことにすら気がつかないなんて。

あなただけよ。わたくしの王子さまは...

なんと哀れなダボハゼたち。自己憐憫に浸ることしか能がない。踊り狂わされる少女たちより、よっぽど哀れです。"王子さま"役はこれだからつらいよってさ。そのみすぼらしさを隠すために、今日も必死で王子さまを演じているのですね。おさるを捕まえるのも、靴を脱がすのもまた、あんたの人生。

 

 

LA BANDE

フィナンシェのことすっかり忘れてる暁生。
次回、

B型は自己中心的で思い込みが激しい 

あの子のお話です。

 

 

 

*1:ベッドに七実がいるのをみて