DUEL:16「幸せのカウベル」<少女革命ウテナ>
さあ、七実。朝ごはんだよ。いいから、たんとお食べ。これが最後の食事なんだから。
DUEL:16「幸せのカウベル」
放送日:1997年7月16日
脚本:比賀昇 絵コンテ:錦織博
演出:腰繁男 作画監督:津幡佳明
七実さまが牛になってしまう回です。本当にこの文章のまま、七実さまが牛になってしまう回です。
王子さまブランド
この話での教訓、いわゆるメッセージみたいなものって(あるのかどうかわからないけど)、ラストでブランドものをじゃらじゃら身につけた樹璃の、
哀れなものだな。
ブランド品に魅入られた者の末路は。
という言葉のまま受け取ってもいいとおもうし、まあその通りだともおもうんですよね。なぜなら七実は、目立ちたい、ちやほやされたい、という欲望に取り憑かれたがために、本来、人間の身につけるべきものでないカウベルを首にぶら下げています。セバスチャン・ディオール(ほんとはコウシチャン・ディオールだけど)という名前さえあればなんでもいいのかい、物事の本質を見ましょうねっていうわかりやすい教訓がこの物語からは読み取れます。あとはまあ、カウベルなんかつけてると牛になってしまうよ、っていう。
そしてこの後者はウテナさまにもいえることなのですよね。七実と、物語の受け手だけではなく。
ウテナっていわば"男"や"王子さま"というブランドに取り憑かれたような人間じゃないですか。ウテナは王子さまになりたいがために王子さまの格好をして、どんどん"男なるもの"になっていってしまう。カウベルをつけた七実が牛になってしまうのと同じように。それがいいことなのか悪いことなのかはさておきますけど。
君はカウベルの何たるかも知らずにそのバカでかい鈴を首につけて得意になっていたわけさ。
ウテナさまボロクソ言ってますけど、ブーメラン突き刺さりまくり。君は王子さまの何たるかも知らずにそのダサい学ランを着て得意になっていたわけさ。というのも言い過ぎですけど。さてその王子さまの何たるかっていうのが、今後のテーマになってくるところだとおもいます。
あととっても面白いのは、このアニメってすごくメタ・フィクション的ですよね。キャラクターたちは、鳳学園にいる人間たち、というより、この『少女革命ウテナ』という舞台においてそれぞれある役割を演じている、というようなところがある。"物事の本質を見ましょう"みたいな教訓って、その役割を壊す、つまり世界を革命するってことなので、物語全編に通じるメッセージになってます。作り手の意図は知らんけど。
号外!
この嘘の情報を流したネズ太郎は猫に食べられちゃうので、
自業自得ですよね。
ともおもうのですが、 騙されて今夜ぐっすり眠っているネズミたちの危険性を考えると安心できない...ねこ、つよい...という話でした。
こうやって嘘の情報を吹き込む"ネズ太郎"って何者なのでしょうか。それは世界っていう大きなものでもあり、身内っていうごく近しいものでもあるわけだ。
LA BANDE
いただきます。
ウテナさまは、ほんとに無邪気なんですね。次は樹璃回です。